はじめに
近年、SNS動画プラットフォームは世界中で爆発的に成長を遂げています。YouTubeやTikTok、Instagram Reels、Facebook Watchなどの登場により、テキスト中心だったSNSの構造は大きく変化し、短尺・縦型・モバイル最適化された動画コンテンツが主流になりつつあります。
その一方で、日本と海外ではユーザーの行動や市場の成熟度、マーケティング活用の戦略に違いがあります。本記事では、最新の市場データや調査結果をもとに、日本のSNS動画市場と海外との違いを明らかにし、企業が取るべき戦略的アプローチについても解説します。
1. 日本のSNS動画プラットフォーム市場:成長と課題
SNS利用者数とプラットフォームシェア
日本のSNS利用者数は2024年時点で約8,200万人、インターネット普及率は84.9%を超え、SNSはもはや日常生活に欠かせないインフラとなっています。
以下は主要SNSの日本における月間アクティブユーザー(MAU)です(2024年時点):
LINE | 9,600万人(国内最大のSNSプラットフォーム) |
X(旧Twitter) | 6,650万人(政治・ニュース系の情報収集に強い) |
4,800万人(若年層を中心に動画リール利用が増加) | |
YouTube | 6,500万人以上(全年齢層で圧倒的人気) |
TikTok | 2,000万人超(Z世代を中心に急成長) |
特にTikTokの国内利用者は、直近3年で2倍以上に増加しており、若年層(10代〜20代前半)を中心にライフスタイル・音楽・メイク・食レポなどの短尺コンテンツが定着しています。
動画コンテンツ消費の傾向
日本では、もともとアニメやドラマといった長尺コンテンツの視聴文化が根強く存在します。動画配信サービス(VOD)の利用者も多く、Amazon Prime Video、Netflix、U-NEXTなどが主要な視聴先です。
一方で、近年は通勤通学・隙間時間に適したショート動画の消費が急速に拡大しています。特にYouTube ShortsやInstagram Reelsが後発ながらも成長を遂げ、SNSの動画市場は多様化しています。
一方で、近年は通勤通学・隙間時間に適したショート動画の消費が急速に拡大しています。特にYouTube ShortsやInstagram Reelsが後発ながらも成長を遂げ、SNSの動画市場は多様化しています。
動画広告市場の成長
日本の動画広告市場は2024年時点で5,400億円規模にまで成長し、年率10〜15%のペースで伸びています。中でもYouTube広告は国内の企業にとって主要なマーケティングチャネルとなっており、大手から中小企業、個人クリエイターまで活用が進んでいます。
2. 海外のSNS動画市場:規模・習慣・戦略の違い
グローバルな利用者数と滞在時間
2025年時点で、世界のSNS利用者は約52億人、世界人口の63.9%に相当します。SNSの平均利用時間は1日あたり2時間23分、その中で最も時間を消費しているのが動画コンテンツです。
特に以下のプラットフォームがグローバル市場で大きな存在感を放っています:
TikTok | グローバル月間利用者15億人以上。1人あたりのアプリ滞在時間は平均52分。 |
YouTube | 25億人以上のアクティブユーザー。動画検索エンジンとしての利用も多数。 |
Instagram Reels | ストーリーと並ぶ動画コンテンツ消費チャネルに進化。 |
Facebook Watch | 中高年層を中心に安定した動画消費層を確保。 |
コンテンツの傾向と違い
海外では、短尺コンテンツ(15秒〜60秒)へのシフトが一気に進行しています。TikTokが牽引したこの流れは、今や全プラットフォームに波及し、動画の長さ、フォーマット、テンポ、演出も「TikTok化」が進んでいます。
一方、アメリカなどではSNSが実質的な検索・購買導線にもなっており、ライブコマース、インフルエンサーマーケティング、商品レビュー動画がビジネス直結の手段として活用されています。
3. 日本と海外の違い:文化・技術・戦略の観点から
コンテンツの「質」 vs 「量」
日本:制作クオリティや企画力重視。構成や編集に時間をかける傾向が強い。
海外:スピードと発信頻度重視。ユーザー生成コンテンツ(UGC)文化が根付き、誰もが発信者になれる風土がある。
SNSをどうビジネス活用するか
日本:企業の公式アカウント運用やブランド訴求が中心。直接販売よりも信頼・共感形成に重きを置く。
海外:SNSは販売チャネルそのもの。TikTok Shop、Instagram Shopなどが浸透し、ユーザーはその場で商品を買う。
プラットフォームへの依存度
日本:YouTubeが依然として“王者”。信頼性・専門性重視の傾向。
海外:TikTok・Reelsのようなエンタメ性重視・直感型消費の台頭。
4. 日本企業が取るべき戦略的アプローチ
今後、日本の企業やクリエイターが動画マーケティングで成果を上げるためには、以下の視点が重要です:
① マルチチャネル戦略
TikTokだけでなく、YouTube Shorts、Instagram Reels、LINE VOOMなど複数の動画SNSを使い分ける柔軟性が求められます。プラットフォームごとに求められるトーン・尺・切り口を設計する力がカギ。
② 短尺コンテンツへの最適化
短尺コンテンツ向けに、冒頭1〜3秒で惹きつける構成、字幕・テロップの可読性、縦型に適したレイアウトを重視しましょう。「ながら視聴」を前提としたデザインが必須です。
③ UGC(ユーザー生成コンテンツ)の活用
海外同様、日本でも一般ユーザーによるクチコミ・動画投稿がブランドの信頼性に直結します。アンバサダー制度や投稿キャンペーンを設計し、ユーザーとの共創型コンテンツを増やすことが鍵です。
④ グローバル展開を見据えた字幕・翻訳
LLMや音声認識技術を活用し、英語・中国語・韓国語などへの多言語対応動画を自動生成できる体制を整えることで、海外市場への拡張が容易になります。
まとめ:SNS動画時代、日本の成長余地はまだまだある
日本と海外のSNS動画市場を比較すると、利用者数や時間の面では差があるものの、日本にも大きなポテンシャルがあることがわかります。特にZ世代の動画消費行動やTikTok利用の増加は、今後のトレンドを大きく左右します。
動画SNSは「情報を伝える場」から「商品を売る場」「共感を得る場」へと変化しています。だからこそ、単に動画を投稿するだけでなく、ユーザーの心をつかむストーリー性と、的確な戦略設計が求められます。
日本発の動画コンテンツが、世界市場で支持されるために──プラットフォームの違いを理解し、文化と技術のバランスを取りながら、動画を通じたブランド発信力を高めていくことが今後ますます重要になるでしょう。
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