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インバウンド集客×YouTube戦略

「顔出ししなくても動画で稼げる時代」が本格化しています

スマホ1台で撮影していた時代から、近年は生成AIが動画制作を担う時代へと変化しています。ナレーション、アバター、映像生成、編集、BGMまで全てAIが担うことで、顔出し不要&工数ゼロに近いスタイルでも、価値ある動画を量産できるようになっています。

しかし、2025年7月15日にGoogle(YouTube)が発表した「大量生成・繰り返し系コンテンツの収益規制」により、このトレンドには新たな注意が必要となりました。AIを駆使した上で、「価値ある独創性」が求められる時代へと突入しています。

1. 背景と課題認識

2024年、日本のインバウンド需要は本格的に回復しました。訪日外客数と
旅行消費額はいずれも過去最高を更新し、観光産業はコロナ前を大きく
上回る規模へと成長しています。

特に注目すべきは「一人当たり消費額」の上昇です。これにより、観光業界は単に「数を呼び込む」段階から、「質の高い体験や価値ある消費を提供する」競争へと移行しました。

訪日観光客が旅行計画を立てる際、必ず行う行動が「検索」と「動画視聴」です。訪日観光客はGoogleで情報を探し、YouTubeで現地の様子を確認しており、この2つの行動パターンが旅行前の意思決定を大きく左右しています。

したがって、検索エンジンとの親和性が高くかつ映像で強い説得力を持つYouTubeは、インバウンド集客において極めて有効な基盤といえます。
本稿では、YouTubeがインバウンド集客に適している理由を整理したうえで、実践的な運用ポイント、KPI設計を交えて一気通貫で解説します。

2. YouTubeが集客に強い理由

2-1. 世界規模での到達力

YouTubeは80以上の言語に対応し、ほぼすべての主要地域で利用可能な唯一の動画プラットフォームです。国籍や言語を超えて情報を発信できる点は、他のSNSにはない強みです。

さらに、ショート動画で瞬間的に認知を獲得し、長尺動画で深い理解を
促し、ライブ配信で双方向性を確保するなど、認知から意思決定に至るまでのファネルを一気通貫でカバーできるのも大きな魅力です。

2-2. 検索との統合度の高さ

YouTubeは「世界で2番目に大きい検索エンジン」と呼ばれるほど検索利用が多く、Google検索とも強く統合されています。旅行関連のキーワードでは
検索結果に動画カルーセルが表示されたり、Discoverで露出する機会も
豊富です。

例えば、旅行者が「Japan travel tips」「Tokyo food tour」といった語句で
検索した場合、適切に最適化された動画は自然な流入経路となります。
つまり、YouTubeに動画を配置すること自体が、検索経由での新規顧客獲得
チャネルの拡大につながるのです。

2-3. 圧倒的な体験伝達力

文章や写真だけでは伝えきれない「空気感」「規模感」「体験感」を、
動画は視覚・聴覚を通じて高密度に表現できます。施設紹介、体験ツアー、顧客インタビューなど、観光やサービス領域に適した表現手法が揃っており、理解と納得を一段押し上げる力があります。

また、自動字幕や多言語タイトルを設定すれば、容易に越境展開が
可能です。映像を通して「体験を疑似的に味わえる」ことが、インバウンド集客でYouTubeが選ばれる最大の理由です。

3. 成果に直結する実践ポイント

3-1. 企画設計は「検索意図×ファネル」

訪日客が検索しそうなキーワードから逆算して企画を立案することが
重要です。例えば以下のように段階別の動画を用意することで、旅行計画
プロセス全体に自然に入り込めます。

  • 認知段階:Shorts(30秒前後、単一メッセージに特化)
  • 比較検討段階:長尺(5〜12分、課題→解決策→証拠→CTAの流れ)
  • 決定支援段階:ライブ配信やアーカイブ(Q&A形式で不安解消)

検索意図に基づく設計は、見込み客のニーズに寄り添った導線づくりの鍵となります。

3-2. 離脱を防ぐ動画構成

冒頭15秒で「誰に・何を・なぜ有益か」を明示することで視聴者を引き込みます。
本編は 課題→具体策→結果/注意点 の三部構成で整理し、クロージングでは「次に観るべき1本」や予約・資料請求などのCTAを提示するのが基本です。
さらに、チャプターを説明欄冒頭に設置すれば、途中離脱した視聴者も再訪しやすくなります。

3-3. SEOとメタ情報の基本

  • タイトル:主要キーワード+便益(例:Kyoto 1-Day Model Course | Avoid Crowds & Save Money)
  • 説明欄:冒頭に要約とCTAリンク、次にチャプターや参考情報
  • タグ:英語・漢字・繁体字を含め表記ゆれを網羅
  • サムネイル:強いコントラストと5〜7語で瞬時に内容を伝える

これらの基本を徹底するだけで、検索流入とクリック率が大幅に向上します。

4. 多言語と越境展開

まずは英語字幕からスタートし、反応の良い動画に対して繁体字や
韓国語字幕を追加していくのが効率的です。固有名詞は現地表記を併記し、説明欄には現地通貨や営業時間を記載し、必ず更新日を明示します。
これにより、情報の鮮度を維持しながら信頼性の高い動画資産を
構築できます。

5. 配信タイミングと戦略

観光動画は「検索される時期」とのマッチが成果を大きく左右します。

  • 桜・紅葉・大型連休・冬のイルミネーション:6〜8週間前に動画を集中配信
  • 地域の祭りやフェス:特設プレイリスト+ライブ配信で当日感を演出
  • 店舗・施設紹介:MEOと連携し、Googleマップやルート情報を説明欄に記載

このように「旅行計画のタイミング」に合わせることで接触確率を最大化できます。

6. KPI設計と運用管理

動画の目的ごとにKPIを分解し、改善トレンドを追うことが重要です。

  • 露出:インプレッション数、CTR
  • 視聴:平均視聴時間、視聴維持率
  • 回遊:エンド画面/カードCTR、チャンネル登録率
  • 送客:説明欄リンクCTR、LP到達率
  • 成果:予約件数、来店数、売上

初期目安はCTR4〜6%、視聴維持率30〜50%。大切なのは数値の絶対値
ではなく、改善の傾向を継続的にモニタリングすることです。

7. リスクと注意点

  • Shortsの外部リンクは利用できないため、長尺やチャンネル経由で導線を設計
  • 著作権・肖像権・ロケ許可のガイドラインを徹底
  • 多言語展開は直訳でなく文化的ニュアンスを反映
  • 価格や営業時間など変動しやすい情報は更新日を明記し、変更時は固定コメントで案内

こうしたリスクを放置すると炎上や信頼低下につながるため、
ガイドライン化が不可欠です。

8. 90日スプリント運用モデル

短期間で成果を見極めるために以下の運用モデルが有効です。

  • 編成:3テーマ ×(長尺3本+Shorts6本)=計27本
  • 配信頻度:長尺=週1本、Shorts=週2本
  • A/Bテスト:サムネ・タイトルを2案用意し、24h/72h/1週で初速を評価
  • レビュー:GA4とYouTubeアナリティクスを用い、隔週でKPIをレビュー

このサイクルを3か月回すことで、視聴傾向から勝ち筋を抽出し、
以降のリソース投下を最適化できます。

まとめ

YouTubeは 世界規模の到達力・検索適合性・体験伝達力 を兼ね備えた、
インバウンド観光に最適な集客基盤です。検索意図に基づいた企画設計、ショート×長尺×ライブを組み合わせたファネル全体のカバー、多言語化と正確な情報更新、そしてKPI改善サイクルを徹底することで、YouTubeは単発施策にとどまらず積み上がる資産型メディアとなります。

このプロセスを90日単位で回し続ければ、観光、小売、サービス、BtoBを問わず再現性のある新規顧客獲得チャネルとして機能し、インバウンド集客の中心的役割を担うことができるでしょう。


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