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オーストラリアで始まる未成年者へのSNS規制|海外と日本の動き、そして動画業界への影響とは?


2024年、オーストラリア政府は世界に先駆けて、未成年者(16歳未満)によるSNSの利用を原則禁止する法案を可決しました。この動きは、子どもたちをオンライン上の危険から守るための大きな転換点であり、世界中に衝撃を与えています。


目次



1. SNS規制の背景:オーストラリアが先陣を切った理由とは?

2024年11月、オーストラリアは「オンライン安全改正法(Social Media Minimum Age Law)」を可決し、16歳未満の未成年者によるFacebook、Instagram、TikTok、Snapchatなどの主要SNSの利用を禁止する措置を打ち出しました。この法律は、2025年末に施行予定で、企業が年齢確認を怠った場合は最大4,950万豪ドル(約32億円)の罰金が科せられます。

この法律の背景には、SNSを通じたいじめ、性加害、依存症の増加といった問題があります。特に、10代の自殺率や精神的健康への影響が強く指摘されており、「SNSが子どもたちの健全な発達に悪影響を及ぼしている」との社会的懸念が高まっていました。


2. 海外の動向:SNS規制は世界の潮流になるのか?

オーストラリアに続き、世界各国でも未成年者のSNS利用に対する制限が進んでいます。

  • • アメリカ・フロリダ州:14歳未満のSNS利用を禁止。14~15歳には保護者の同意が必要という法律が成立。
  • • EU(欧州連合):2024年に「デジタルサービス法(DSA)」を施行。未成年者のデータ保護と有害コンテンツへの規制を強化。
  • • イギリス:子ども向けのデジタルサービスに対して厳格な年齢確認を求める「エイジ・アプロプリエイト・デザイン・コード」が導入され、実質的な利用制限が進行中。


こうした規制の共通点は、「プラットフォームに責任を持たせる」という点にあります。単に家庭や学校の教育だけに任せるのではなく、サービス提供側に明確な対応を義務づける法整備が加速しています。


3. 日本の現状:制度の遅れと課題

一方、日本では、未成年者によるSNS利用を直接的に禁止する法律は存在しません。ほとんどのSNSでは「13歳以上」と定められていますが、実質的な年齢確認は緩く、10歳前後の利用者も多く見られます。

政府は2024年に「情報流通プラットフォーム法」を施行し、SNS事業者に違法・有害コンテンツの迅速な削除などを義務づけましたが、年齢制限や利用禁止に関する法的強制力はまだ限定的です。

その一方で、一部の企業は自主的な対策を講じています。例えばInstagramでは、13~17歳の利用者に対し「ティーンアカウント」を自動適用し、不適切なコンテンツへのアクセス制限や利用時間制限を導入しました。しかし、こうした取り組みは統一的ではなく、プラットフォーム間で対応にばらつきがあります。


4. 日本のSNS動画業界への影響

オーストラリアや欧米での規制強化は、日本のSNS動画業界にも影響を及ぼしつつあります。特に以下の3つの点が重要です。

1. ターゲット層の再設定
YouTube、TikTok、Instagramなどは未成年ユーザーに支えられてきましたが、規制の影響でコンテンツ制作者は大人向けへのシフトを迫られる可能性があります。とくに、教育系・ビジネス系・ライフスタイル系の動画が今後さらに注目を集めるでしょう。

2. 広告収益モデルの見直し
未成年者をターゲットにした広告は今後ますます規制対象となる可能性が高いため、企業も広告戦略を見直す必要があります。年齢層の高いユーザーを意識した、信頼性の高い情報提供型コンテンツが求められるようになるでしょう。

3. 年齢確認システムの強化
規制強化に備え、プラットフォーム側はID認証・保護者同意システムの導入を進めざるを得なくなる可能性があります。これにより、未成年の“なりすまし利用”のハードルが上がり、コンテンツ提供者側にもより厳格な対応が求められます。


5. 規制と自由のバランス:将来への視点

未成年者のSNS利用をめぐる議論は、「自由な情報アクセス」対「子どもの保護」という価値の対立に立脚しています。完全な規制は、かえって地下化や非公式利用を助長する可能性がある一方、放置すれば犯罪や精神的被害のリスクが増加するのも事実です。

理想的なのは、法的規制と並行して、「SNSリテラシー教育」を学校・家庭・メディアが一体となって推進すること。健全なデジタル社会の構築には、制度・技術・教育の三位一体の対策が求められています。


6. SNS規制は動画コンテンツのあり方を変える

オーストラリアの未成年者SNS利用禁止は、単なる一国の取り組みに留まりません。世界の潮流を動かし、SNS動画業界にも確実に影響を与え始めています。日本においても、制度整備だけでなく、企業・クリエイター・保護者を巻き込んだ、持続可能なデジタル環境づくりが不可欠です。
どのような動画コンテンツを制作するかにも今後大きく影響していくでしょう。

未成年者を守りつつ、自由な表現と情報流通をいかに両立させるか。
今こそ、日本のSNSと動画業界がその答えを問われています。


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