1. UGC動画の説明
UGC(User Generated Content)は、生活者や既存顧客が自発的に作成・発信するコンテンツの総称です。
なかでもUGC動画は、スマホで撮影・編集された「レビュー」「開封」「使い方紹介」「ビフォーアフター」「体験レポート」などを指し、Instagram、TikTok、YouTube、X(旧Twitter)に日々投稿されています。
企業制作の広告と異なり、第三者の等身大の視点が含まれるため親近感・信頼性・共感の伝播に優れ、短尺・縦型視聴が主流のSNS文脈で自然拡散が起きやすいのが特徴です。
BtoB領域でも、SaaSの操作感レビュー、導入担当者の「現場の声」、セミナー参加者の所感などが、比較検討段階の不安を解消する素材として機能します。
実務ヒント
- フォーマットは「①レビュー/使用感 ②ハウツー/Tips ③ストーリー(課題→解決→学び)」に整理
- 15〜30秒の短尺で冒頭2秒にベネフィットを提示
(例:「◯◯が1分で完了」) - 撮影ハードルを下げるため、字幕プリセット・BGMリスト・
構図3パターン(顔出し/手元のみ/商品主役)を用意
KPIの考え方(BtoB含む)
再生完了率、保存率、シェア率、コメント率、指名検索、LPのCTR・CVR、MQL(Marketing Qualified Lead)・SQL(Sales Qualified Lead)・
商談化率まで追う
2. UGC動画のメリット
認知と信頼を同時に獲得:第三者の率直な評価は広告より信頼されやすく自然拡散が起きやすい
新規顧客の獲得に強い:同じ立場の投稿が共感を生み、購買・問い合わせの障壁を下げる
コスト効率が高い:自発投稿を核に、LP・EC・広告・営業資料へ二次活用してROIを伸ばせる
エンゲージメント/ロイヤルティ向上:投稿→反応→リポスト→再投稿の循環でコミュニティが育つ
コミュニティ促進:ハッシュタグ運用や「推し」文化と相性が良く、会話が継続
商品改善のインサイト:実使用の動画からUI・サイズ感・誤用ポイントなどの生の学びが得られる

3. UGC動画の成功事例(3選)
事例1|くら寿司(外食)
ARで「まぐろと一緒に撮影」できる体験を設計し、Xへの投稿を促進。ハッシュタグと抽選などの参加導線により、多様なUGCを創出。
参考:無添くら寿司【公式】X(旧Twitter)アカウント
事例2|やおきん「うまい棒総選挙」(食品)
投票×WebAR×チャットボットで、参加=発信を連動。参加者1万人以上、UGC約1,700件を獲得し、推し文化と相性の良さを証明。
参考:やおきん「うまい棒総選挙」の 舞台裏を大公開!WebAR×チャットで継続的な“好き”を生む戦略を実現|
事例3|タリーズコーヒージャパン「トムとジェリー 桜舞うスペシャルコーヒータイム」(Instagram)
レシートのQRからARフォトフレーム(トムとジェリー)が出現する体験を実装し、期間中に5万人超が体験・13万PVを記録。
購入体験と投稿導線をつなぎUGCを大量創出、認知を拡大。
参考:タリーズコーヒーのトムとジェリーコラボキャンペーンにてARを使った店舗体験企画を実施。5万人以上がARを体験し、ARのアクセス数は13万PV!
横断学び
成功の共通項は「(A)撮りたくなる体験設計(B)シェア導線と公式リポスト(C)LPや広告への二次活用(D)データでの学習」の4点
4. UGC動画活用のポイントと注意点(6つ)
① 目的とKPIを先に固定する
認知/CVR/LTVのどれに効かせるかを明確化。
BtoBは案件化率・商談化率・導入までの日数も合わせて追う。
KPIは「投稿数→良質率(採用率)→LP/EC効果→売上寄与」の順で階層化。
② 「撮りやすさ」と「参加しやすさ」を設計する
サンプル台本(導入10秒の言い切り→体験→学び)、字幕プリセット、
構図例、BGMガイドを配布。ハッシュタグに加え投稿フォーム/専用UGC
ハブを用意し、抽選・公式紹介・バッジなどの動機づけで初速を作る。
③ 短尺・先出しベネフィット・明確CTA
15〜30秒を基本に冒頭2秒で価値宣言(誰の何をどう良くするか)。
映像は手元アップやビフォーアフターを多用し、最後に「CTA(#参加/LP誘導/クーポン)」を配置。
テロップは大きく要点のみ
④ 収集→選定→編集→二次利用の運用ラインを作る
週次で選定会議→編集→配信→効果測定を回す。
UGCはLP・EC・広告・営業資料・ウェビナーへ横展開し、媒体ごとの勝ちパターン(尺・構図・一言フック)をテンプレ化。
⑤ 権利・表記・安全のガバナンスを担保する(必須)
事前に二次利用同意(媒体・期間・改変可否・撤回手続き・クレジット)を取得。対価提供や依頼投稿では「#PR/#広告」を明示。
著作権・肖像権・商標・BGMライセンス、薬機法・景表法・
業界ガイドラインをチェックし、NG表現・危険行為はスタイルガイドで
明文化。通報窓口と審査SLAを用意。
⑥ データで学び、型化して拡張する
ダッシュボードで保存率・コメント率・視聴完了率・UGC掲載面CVRを
可視化。高成績UGCの共通因子(導入の一言/手元アップ/照明条件/価格言及の有無など)を抽出して指示書に反映。
国・言語・チャネルをまたいでローカライズし、勝ち筋を多拠点展開
5. 実務の落とし穴(注意点)
量産で同質化 → テーマ・被写体・尺・フックをローテーション
運用Tip: 台本類似度(n-gram)70%未満を目安にし、
①テーマ(機能/シーン/ユーザータイプ)
②被写体(人物/手元/商品/画面録画)
③尺(15s/30s/60s)
④フック(課題直球/ベネフィット先出し/ビフォーアフター/比較)
上記4点を週次の組み合わせ表で管理
- 良質UGCの不在 → 撮影見本と「採用の約束」で初速を作る
運用Tip: 3本の見本動画(構図・字幕・BGMつき)を配布し、「採用されたら公式で必ず紹介+特典」を明文化。
ローンチ週は採用率を高めて初速を作る。
投稿フォームで利用同意も同時取得。
社内運用が属人化 → 役割分担表(募集/選定/編集/権利/配信
/分析)で固定化
運用Tip: RACIで責任区分を明確化し、週次スプリント
(募集→選定→編集→配信→レポート)を固定。
権利・#PR表記・BGMライセンス・NG表現のチェックリストを
ワークフローに組み込み、担当交代でも回る状態に

6. まとめ
UGC動画は、第三者のリアリティで信頼を生み、SNS文脈で自然拡散し、
LPや広告・営業資料への二次活用でCVRやLTVまで効かせられる
「運用型資産」です。
成功の鍵は、
①目的とKPIの先行設計
②撮りやすさ×参加しやすさの体験設計
③短尺・先出し価値・明確CTA
④収集→選定→編集→二次利用の運用ライン
⑤権利・表記・安全のガバナンス
⑥データ学習と型化・横展開 の6点
まずは一製品×一テーマ×30日の最小ループ(募集→選定→LP比較→数値共有)を回し、勝ち筋をテンプレート化。
BtoBなら導入現場・運用担当・意思決定者という3視点UGCを揃え、
検討フェーズの「最後のひと押し」を最短にしましょう。
UGC動画は偶然ではなく、設計と運用で再現性を高められる
成長エンジンです。
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